ハンドメイドハウス・HLP施工の流れ

※文中の「204材」等は、2インチ×4インチの意です。2×4工法の木材を指します。


■ステップ1 「基礎と土台」


通常、基礎はコンクリート製の布基礎とします。地盤の地耐力や必要に応じフーチンの布を拡げたり
鉄筋を入れたりします。基礎と土台をしっかりつなぐために予めアンカーボルトを埋め込んでおきます。

基礎には、床下の換気を行い建物を湿気などから守るための床下換気口を設けます。
換気口は有効換気面積300cu以上として隅部の通風も十分行えるように4m以内ごとに配置します。

外周部の換気口には、ねずみ等の侵入を防ぐためのスクリーンを取り付けます。

さらに湿気対策として、床下の地面は外部の地面より高くしておき、フィルムやコンクリートにより
床下面を覆ってしまいます。また、基礎の立ち上がりは、G.Lより30cm以上とします。

基礎の上には土台を敷きます。土台は根太を支え、更に基礎と枠組を結びつける役目を果たします。
通常は、204材或いはそれ以上のディメンジョンランバー平らに置き、
アンカーボルトにより緊結します。このような土台には座金ぼりが出来ないので、 アンカーボルトを
根太の邪魔にならない位置に配置しておく必要があります。

土台に使用する材料は防腐処理をしたものを使い、基礎と土台の間はフィルム等で防湿します。

土台は、これ以降の作業の基準となる重要な部分です。寸法、水平、垂直、歪みなど全てにおいて
正確に施工される必要があります。


■ステップ2 「根太」


枠組壁工法では、根太に床下張りの合板を張り詰めてプラットフォームを作ります。
このプラットフォームは単に床の荷重を受けるだけでなく、外壁や耐力壁などの横からの力を支えます。

根太には206材以上のディメンションランバーを使用しますが、在来工法的な床組の場合には204材も
使用することが出来ます。根太間隔は通常455mm程度ですが耐力によっては、303mmや606mm間隔に
することも出来ます。

この根太間隔は合板のサイズによっても影響を受けます。北米では1,220mm×2,440mmのサイズの
合板を使いますので407mm(16インチ)や610mm(24インチ)の間隔が一般的です。また、合板の種類、
厚さ、釘と接着剤の使用等により根太間隔や、スパンを変えることが出来ます。

根太の継手部は耐力上弱い部分なので必ず、土台、頭つなぎ、床梁等の上で継ぎます。

方法としては、重ね合わせて継ぐ方法、添木または、構造用合板で継ぐ方法、金物によって継ぐ方法
などがあります。

継手部分や、間仕切壁、耐力壁の上下には根太と同寸のころび止をいれます。さらに、根太に212材を
使用した場合は3m以内に入れる必要があります。

耐力壁が根太と平行にある場合には、根太を2枚合わせにします。床組の外周部には
側根太(根太と平行方向の端部材)と端根太(根太と直行方向の端部材)を設けます。

床に点検口や設備配管用の開口部を設ける場合は、その縁を構成する根太を基本的には
2枚合せとして補強します。


■ステップ3 「壁と壁下張り(枠の組立て)」


壁の組立は、プラットフォームの上で平らに倒した状態でパネルとして組立られ、さらに外壁に面する
パネルには、外壁下張材を張った後所定の位置に立て起こします。このような組立方法とすることに
より足場を省略し、効率的に作業を進めることが出来ます。

壁枠組には通常204材のディメンションランバーを455mm間隔で使用します。
標準的な壁の高さは2450mmですが、これは内部に張るボードの寸法によるものです。

204材のたて枠で作れるパネルの高さは3.8mまでで、屋根の矢切部分や吹抜などで長いたて枠を
必要とする時には206材を使用します。これにより6.0mのものまで作ることができます。

壁パネルと壁パネルの接合部のたて枠は必ず3本以上で構成する必要があります。
この時、内部のボードや外部の下張材の端部に、必ずたて枠がくるような組合せにする必要があります。

耐力壁に設ける窓やドアなどの開口部の巾は最大4mです。また、開口部と壁の量のバランスは、
その耐力壁線上の開口部の巾の合計が耐力壁の長さの3/4以下としなければなりません。

開口部は、ディメンションランバーによるまぐさや、それを支えるまぐさ受けにより構成されます。

外壁の下張りには、通常厚さ9mmの構造用合板を用いますが、シージングボード、パーティクルボード、
ハードボード、その他のものも使用することが出来ます。

通常3’×8’(910mm×2,440mm)、3’×9’(910mm×2,730mm)版をたてに張ります。

4’×8’(1,220mm×2,440mm)版を使う場合は横に張ることも出来ますが、その場合、
合板の継ぎ目に204材の合板受を入れます。


■ステップ4 「2階の床組み、根太と床下張り」

2階の床(プラットフォーム)を作るのは1階と同じ要領ですが、異なる点は階段を取り付けるための
大きな床開口部を作らなければならない点です。

1階の床の場合の土台の役目を果たすのは、1階の壁の頭つなぎです。もし2階が乗らない部分が
あるなら、その部分の床は作る必要はありません。

根太も1階の時と同じように配置され、ころび止等も同様に取り付けて行きます。

支持壁の下や床開口部周りは2枚合わせにして補強します。床下張も1階の場合と同様です。

2階では、床をオーバーハングさせたりセットバックさせたり、バルコニーや玄関のひさしなどを
取り付けたりしますが、ここではその詳細は省略します。しかしそれらは、いずれにしろ
ディメンションランバーや合板などによって構成されて行きます。


■ステップ5 「2階の枠組み壁と下張り」

2階の窓も1階と同様の方法で企画し組み立てて行きます。

2階の床をプラットフォームとし、壁の組立、釘打ちを行います。外壁部には下張りをして、
長いほうの壁から立て起こしていきます。短い方の壁の、端の部分は合板を張らないまま立ち上げます。

1階と異なるのはこの最後の合板を後から打ち付けるための足場が必要となる事です。

全ての壁が立ち上がったら頭つなぎを1階と同様に取り付けます。この頭つなぎは、
次の工程である小屋組の基礎となります。


■ステップ6 「小屋組」

小屋組を構成するたるきや天井根太は、204材以上のディメンションランバーを455mm程度の間隔で
使用します。

小屋組を大きく分けると、たるき方式、屋根梁方式、トラス方式、束建て方式などがあります。それぞれ特徴を
持ち、屋根形状や内部空間、施工性、経済性等により、使い分けられます。

もっとも短時間で経済的な小屋組はトラス方式です。しかもトラスをあらかじめ工場で製作することにより
その特色はより強いものとなります。しかし大きなトラスの場合、工場から現場までの搬入経路を考慮する必要が
あります。

妻子壁などの製作方法は、おおよそ壁組と同様です。

小屋組として特徴的なのは屋根の軒の持ち出しです。軒の持出しには、軒先方向とけらば方向があります。

軒先のたるき方向と同じ持出しは、単にたるきをそのまま延ばしてくればよいわけですが、けらば方向では
持出し方向にたるき方向を変えるといった工夫が必要になります。

これまえ緊結金物についての説明は省略してきましたが、各部材どうしをしっかりつなぎ合わせるために、
それぞれの工程において必要な金物で補強します。特に小屋組においては、あおり止金物により、
たるきと頭つなぎ、上枠、たて枠をしっかりつなぐことが必要です。


■ステップ7 「屋根下張り」

屋根下張りは、床の下張りと同様に行います。

床根太が小屋組にそうとうします。

屋根下張材は構造用合板の厚さ9mm以上のものかパーティクルボードの厚さ12mm以上のものを使用します。

合板を千鳥に張って行く点や、たるきに3本以上かかるようにしなければならない点も床の場合と同様です。

ただ張り始めの位置は軒先面から始め、むなぎ頂部で調整します。合板の継手部分には、床の場合と同様に
合板受け入れてゆきますが一定の基準により省略することもできます。

屋根において重要な事は必ず換気を取ると言う事です。これは結露防止、耐久性向上、居住性向上のために
必ず行わなければなりません。